電話代行サービスとAI受付は、どちらが向いているのか

この記事の要点

  • 人が受ける代行は柔軟だが、業種特有の言葉づかいは追加の取り決めが要る。
  • AIは均質で記録が残るが、想定外の相談には弱い。
  • どちらも「用件をどこまで聞くか」「届かなかったときどうするか」の確認は同じく必要。

夜間の電話を外に出す場合、人が受ける電話代行と、AIが受ける仕組みの2つが候補になります。どちらが優れているという話ではなく、条件によって向き不向きが分かれます。

人が受ける代行は、何が得意なのか?

想定外の話に対応できることです。ご遺族のお話は、いつも同じ形では来ません。「実は施設で亡くなって、そこの職員さんから電話するよう言われて」といった経緯の説明が入ることもあります。人であれば、その場で汲み取れます。

もうひとつは、感情への応じ方です。泣いておられる方、言葉が出てこない方に対して、間を取ったり、言葉を選び直したりできます。台本の外に出られる強みです。

ただし、これは「その担当者が」できることです。誰が出ても同じとは限りません。

人が受ける代行の、注意点はどこか?

業種特有の決まりごとが担保されるとは限らない点です。一般的な電話応対の教育では、第一声は感謝から入ります。弔事ではこれを避ける必要がありますが、汎用のサービスにその区別はありません。

また、深夜のシフトは代行側でも人員が薄くなります。混み合えば待たされますし、担当者が固定でないぶん、応対の幅も出ます。自社の方針をどこまで反映できるかを、契約前に具体的に確認する必要があります。

費用は件数と時間帯で決まることが多く、深夜帯は割増になるのが一般的です。

AIが受ける場合は、何が得意なのか?

均質さと記録です。誰が出るかによる差がなく、同じ順番で同じ項目を伺います。伺った内容はそのまま記録として残り、翌朝に読める形になります。

もうひとつは、待たせないことです。同時に複数の着信があっても、順番待ちになりません。夜間の着信は重なるときには重なります。

言葉づかいの方針も、決めたとおりに守らせやすい面があります。ただし「指示したから守っている」と考えるのは早計で、実際に守れているかを後から確認する仕組みが要ります。

AIが受ける場合の、注意点はどこか?

想定していない相談には弱いことです。会話の流れを設計している以上、その形から外れた話にはうまく応じられません。「人と話したい」と言われることもあります。

この点は、断られたときの逃がし方を設計しておくことで補えます。断られた電話こそ記録に残して担当者に届ける。そこまで含めて設計されているかが分かれ目です。

もうひとつ、AIであることを名乗る必要があります。伏せたまま応対して後から分かると、不信につながります。

2つを並べると、どう整理できるのか?

人が受ける代行AIが受ける
想定外の話強い弱い
応対の均質さ担当者による一定
記録の残り方要約が届く項目として残る
同時着信待たせることがある同時に受けられる
業種の言葉づかい追加の取り決めが要る設定できるが検証が要る
費用の考え方件数・時間帯で変動定額または件数

どちらを選んでも、確認すべきことは同じか?

同じです。3点あります。どこまで聞き取るか誰にどう届くか届かなかったときに気付けるか。この3つは、人でもAIでも変わりません。

とくに3つ目は、どちらのサービスでも見落とされがちです。「送りました」と「届きました」は別のことです。この違いを説明できないサービスは、失敗を検知していない可能性があります。

結局、どう決めればよいのか?

自社の夜間着信の性質で決まります。件数が少なく、内容がご逝去の第一報に偏っているなら、均質さと記録の利点が効きます。逆に、相談内容が多岐にわたり、その場での判断が求められる場面が多いなら、人のほうが向きます。

判断のためには、やはり1か月ぶんの記録が要ります。件数だけでなく、用件の種類まで分けて数えると、どちらが合うかは自ずと見えてきます。

両方を組み合わせることはできるのか?

できます。よくある形は、AIがまず受けて用件を伺い、その場で人が必要だと判断された場合に代行や自社の担当者へ回すというものです。ご遺族から「人と話したい」と言われた場合も同じ経路になります。

この形の利点は、件数の多い定型的なお電話を機械が受け、判断が要るものだけ人が受けられることです。人の稼働を、本当に人でなければならない場面に寄せられます。

注意点は、引き継ぎのときに情報が落ちないことです。AIが伺った内容が人に渡らなければ、ご遺族は同じ話を二度することになります。組み合わせるなら、この受け渡しの部分を必ず確認してください。

導入したあと、何を見て評価すればよいのか?

応対の良し悪しを主観で語らないために、いくつか数字を決めておきます。最後まで用件を伺えた割合、人に回った割合、通知が届いた割合。この3つがあれば、月ごとの推移を追えます。

あわせて、通話そのものを月に数本聞き返す時間を取ってください。数字は何が起きたかを教えてくれますが、なぜそうなったかは通話を聞かないと分かりません。

なお、どちらを選ぶにせよ、契約前に自社の番号へ実際にかけて最後まで通してみることをお勧めします。資料と打合せだけでは、第一声の印象も、伺い方の丁寧さも、通知の速さも分かりません。ご遺族が受ける体験を、自分で一度受けてみる。これが最も確実な確認方法です。

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