死亡診断書と死体検案書は、何が違うのか

この記事の要点

  • 診療していた傷病で亡くなった場合は死亡診断書、それ以外は死体検案書になる。
  • 検案が必要な場合は警察が関与し、ご遺体の引き渡しまでに時間がかかることがある。
  • どちらも死亡届と一体の用紙で、届出に必要な書類であることは変わらない。

ご逝去の状況によって、医師が作成する書類の名称が変わります。ご遺族にとっては同じように見えますが、実務では段取りが大きく変わるため、区別を理解しておく必要があります。

以下は一般的な説明です。個別の判断は医師や警察が行うものであり、事案によって扱いは異なります。

2つの書類は、どう使い分けられるのか?

おおまかに言えば、診療していた傷病に関連して亡くなったと医師が判断できる場合は死亡診断書、そうでない場合は死体検案書になります。

入院中や、かかりつけ医の診療を受けていた方が、その病気で亡くなられた場合は死亡診断書です。一方、診療を受けていなかった方が自宅で亡くなられた場合や、死因がはっきりしない場合は、検案という手続きを経て死体検案書が作成されます。

どちらも、死亡届と一体になった用紙の右半分に記入されます。届出に必要な書類であるという点では、扱いは同じです。

検案が必要になるのは、どういう場合か?

診療中の傷病と関連しない死亡、死因が明らかでない場合、事故や災害による死亡などが挙げられます。こうした場合、医師は警察へ届け出ることが法律で定められています。

ご自宅で亡くなられた場合でも、かかりつけ医が診療していた傷病によるものと判断できれば死亡診断書となります。「自宅で亡くなったら必ず警察」というわけではありません。

警察が関与すると、何が変わるのか?

ご遺体をすぐにお迎えできません。状況の確認が終わるまで、その場を動かせないのが原則です。所要時間は事案によって大きく異なります。

この点は、ご遺族への説明で最も注意が必要なところです。「これから伺います」とお伝えしたあとで、警察の確認が入って何時間も待つことになれば、ご遺族の不安は増します。状況を伺った時点で、警察の関与があり得ることを想定した説明をするほうが誠実です。

また、お迎えの時刻が読めないため、他の施行との調整にも影響します。社内の段取りとしても、通常のお迎えとは分けて考える必要があります。

費用は変わるのか?

書類の発行にかかる費用は医療機関によって異なり、検案の場合は診断書より高くなることが一般的です。検案料や搬送に関する費用が別途発生することもあります。

金額は事案と地域によって幅があるため、具体的な数字を先にお伝えするのは避けたほうが無難です。「通常と異なる費用が発生する場合があります」とお伝えし、確定した段階で改めてご説明するのが実務的です。

日程にはどう影響するのか?

書類の受け取りが遅れると、死亡届の提出も、火葬許可証の取得も遅れます。結果として、通夜・葬儀の日程が後ろにずれることがあります。

死亡診断書死体検案書
作成する場面診療していた傷病による死亡それ以外
警察の関与通常なしあり得る
お迎えまでの時間通常どおり読めない
日程への影響小さい大きいことがある

電話でご逝去の連絡を受けたとき、何を確認すればよいのか?

ご逝去の場所と、医師の診察を受けておられたかどうかです。この2つが分かれば、検案の可能性をある程度想定できます。

ただし、聞き方には配慮が要ります。「警察が来ますか」といった直接的な問いは、ご遺族を動揺させます。「どちらでお亡くなりになりましたか」「かかりつけのお医者様はいらっしゃいましたか」といった形で、事実を伺うにとどめるのが適切です。

判断そのものは医師と警察が行います。こちらが結論を述べるべきではありません。伺うのは、こちらの段取りを組むためです。

ご遺族には、どこまで説明すべきか?

第一報の段階では、詳しい制度の説明は不要です。必要なのは、これから何が起きるかの見通しです。「お迎えに伺えるまで、少しお時間をいただく場合がございます」といったお伝えの仕方で足ります。

正確に伝えようとして専門的な説明を重ねると、かえって不安にさせます。分かっていることと、まだ分からないことを、はっきり分けて伝えるのが、この場面での誠実さです。

ご遺族から不安を訴えられたとき、どう応じればよいのか?

警察が関わると聞くと、ご遺族は「何か疑われているのか」と感じられることがあります。そうではなく、死因を明らかにするための手続きであることを、落ち着いてお伝えします。

ただし、こちらが制度を断定的に説明しすぎるのも避けるべきです。判断するのは医師と警察であり、葬儀社が結論を述べる立場にはありません。「私どもでは分かりかねますが、確認が終わり次第お迎えに伺えます」という言い方が、事実に忠実で、かつ不安を増やしません。

この場面で最も大切なのは、待っているあいだ連絡が途絶えないことです。状況が変わらなくても、定期的にご連絡を差し上げるだけで、ご遺族の心細さは大きく変わります。

社内の段取りとしては、何を変えるべきか?

お迎えの時刻が読めない案件として、他の施行と分けて管理することです。通常のお迎えと同じ枠で組むと、確認が長引いたときに他の予定を圧迫します。

あわせて、待機している担当者への連絡経路も決めておきます。状況が動いたときにすぐ動ける体制であれば、待ち時間そのものは問題になりません。

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