深夜のご逝去のお電話で、最初に聞くべきことは何か ── 順番を決めておく理由

この記事の要点

  • 最初に確認するのは、お名前ではなく「いま何が起きているか」。ご逝去か、危篤のご相談かで、その後がすべて変わる。
  • お迎えの可否を決める3つ(いまいる場所・お連れする先・希望の時間)を先に押さえる。
  • 第一報で聞かないほうがよいこともある。答えられない質問は、ご遺族を追い詰める。

ご逝去の第一報は、話す側が最も混乱している電話です。こちらが聞く順番を決めておかないと、必要な情報が抜け、あとで掛け直すことになります。掛け直しはご遺族にとって「同じ話をもう一度」する負担です。ここでは、実務で必要な情報を落とさず、かつご遺族の負担を増やさない順番を整理します。

最初に確認すべきなのは、お名前ではないのはなぜか?

最初に必要なのはいま何が起きているかです。ご逝去なのか、危篤のご相談なのか、事前のお問い合わせなのかで、その後に伺うことがまったく変わります。ここを取り違えたまま項目を聞き始めると、ご遺族には「事務的だ」と映ります。

お名前は必要な情報ですが、最初の一言で求めるものではありません。相手が話し始めた内容に、まず応じることが先です。「さようでございましたか」と受け止めてから、必要なことを順に伺う。この順番だけで、電話の印象は大きく変わります。

なお、第一声で「ありがとうございます」と言わないという決まりごとがあります。弔事の電話では感謝の言葉が場にそぐわないためです。この点は業種を問わない汎用の電話応対とはっきり違うところで、外部に委託する際にも必ず確認すべき項目です。

お迎えのために、何を先に押さえるべきか?

お迎えの可否と段取りを決めるのは、次の3つです。この3つが揃えば、少なくとも動き出せます。

病院か自宅かで、必要な準備も到着までの段取りも変わります。病院であれば霊安室での待機時間の目安が伝えられますし、ご自宅であれば到着後の動線を先に想像できます。「まだ決まっていない」という答えも重要な情報です。その場合は、決めていただく前提でご説明する必要があるからです。

希望の時間は、必ずしも「すぐ」とは限りません。ご親族の到着を待ちたい、朝まで付き添いたいというご意向もあります。こちらが急がせないことが、そのまま信頼につながります。

連絡先は、いつ聞けばよいのか?

用件が分かった直後です。途中で電話が切れても、こちらから掛け直せる状態を早めに作っておくためです。深夜の電話は、話している途中で切れることがあります。病院の廊下、車の中、電波の悪い場所からかけていることも珍しくありません。

あわせて、故人様との続柄も伺っておきます。ご喪主かどうかで、その後の連絡相手が変わるためです。お電話をくださった方が必ずしも決定権をお持ちとは限りません。ここを確認しておかないと、翌朝の打合せで話が振り出しに戻ることがあります。

連絡先を伺うときは、理由を添えると受け入れられやすくなります。「お電話が途中で切れてしまった場合に、こちらからお掛けするために」と一言添えるだけで、事務的な質問が配慮に変わります。

どこまで聞いて、どこから聞かないほうがよいのか?

その場で決めなくてよいことは、聞かないほうがよい場合があります。宗派・ご予算・式の規模などは、第一報の時点では答えられないことが多く、答えられない質問は相手を追い詰めます

第一報で伺う後日で構わない
ご逝去の事実・場所・時刻宗派・菩提寺
お迎えの希望(先・時間)ご予算・プラン
ご連絡先・お名前・続柄参列者のおおよその人数
ご安置場所の希望式場・日程

右側の項目は、翌日以降の打合せで伺えば足ります。第一報は「動き出すために必要な最小限」に絞る。これが結果的に、ご遺族にとっていちばん負担の少ない形になります。

質問の数はどのくらいが適切なのか?

目安として、第一報で伺うのは5つから7つ程度です。それ以上になると、聞かれている側は「取り調べのようだ」と感じます。項目を並べて連発するのではなく、一つひとつに理由を添えるほうが、結果的に早く正確に伺えます。

「お迎えの手配のために、いまいらっしゃる場所を教えていただけますでしょうか」。この一言に含まれているのは、質問だけでなくなぜ聞くのかです。理由が分かる質問は、答えやすい質問です。

順番を決めておくと、何が変わるのか?

誰が出ても同じ情報が揃うようになります。結果として、翌朝の担当者が「何が分かっていて、何が分かっていないか」を把握でき、ご遺族に同じことを二度伺わずに済みます。

順番は紙に書いて、電話のそばに置いてください。覚えている前提にすると、いちばん疲れている夜に抜けます。人は疲れているときほど手順を飛ばします。紙に書いておくのは、能力の問題ではなく、疲労を前提にした備えです。

聞き取った内容は、どう残せばよいのか?

その場のメモで終わらせないことです。深夜に手書きしたメモは、翌朝には読めないことがありますし、担当者の机に置いたまま出社が遅れれば止まります。伺った内容は担当者が出社前に見られる場所に置くのが原則です。

残す項目は、伺った順番のまま並べれば足ります。整形しようとすると時間がかかり、疲れている夜には省かれます。むしろ「聞いたことをそのまま」「聞けなかったことは空欄のまま」残すほうが、翌朝の担当者には役に立ちます。空欄があること自体が、確認すべき点を教えてくれるからです。

あわせて、お電話をいただいた時刻も残しておきます。ご遺族にとっては「何時に連絡したか」が記憶に残っており、こちらがそれを把握しているかどうかで、応対の印象が変わります。

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