葬儀の電話で、使ってはいけない言葉は何か

この記事の要点

  • 避けるべき表現は、重ね言葉・直接的な表現・宗派で意味が異なる語の3系統。
  • 一覧を作っただけでは守られない。実際に使われていないかを確認する仕組みが要る。
  • 検査は文単位で見る。語の出現だけで判定すると、否定の文脈まで引っかかる。

葬儀の電話には、避けるべきとされる表現があります。地域や宗派によって扱いが異なるものもあり、絶対の正解はありません。ここでは、自社の基準を作り、それを守り続けるための考え方を整理します。

避けるべき表現には、どんな系統があるのか?

大きく3つに分けられます。系統で捉えておくと、一覧にない言葉に出会ったときも判断できます。

このうち3つ目は、知らずに使ってしまいやすい系統です。特定の宗派では用いない表現が、一般には広く使われていることがあります。

「ありがとうございます」は、なぜ避けるのか?

お電話の理由が、ご家族を亡くされたことだからです。感謝の言葉で受けると、その出来事に対して述べているように響きます。

一般的な電話応対の教育では、第一声は感謝から入るのが基本とされています。業種を問わない「正しい電話応対」が、この業種では正しくないという逆転が起きます。外部に委託する場合に、必ず確認すべき点です。

代わりの言い方は複数あります。お電話をいただいたことに触れつつ、感謝の語を避ける形にする。最初の一言は最も記憶に残りますから、決めておく価値があります。

一覧を作れば、それで守れるのか?

守れません。一覧は出発点であって、それだけでは使っていないことの確認になりません。決めたことと、実際に行われていることは別です。

人が応対する場合は、教育と振り返りで守ります。AIが応対する場合も同じで、使わないように指示するだけでなく、実際に使われていないかを確かめる工程が要ります。

この確認を省くと、「決めているので大丈夫です」と言えるだけの状態になります。それは守られている状態とは違います。

確認は、どうやって行うのか?

通話の記録を検査します。ただし、単純に語が出てきたかどうかで判定すると誤ります。「〜とは申しません」「〜という言い方は避けております」といった否定の文脈まで引っかかるためです。

文として見る必要があります。語の前後を含めて、実際にその表現を使っているのかを判断する。ここを雑にすると、誤検出が多すぎて誰も見なくなります。

逆に、誤検出を減らそうとして条件を緩めると、本当の違反を見逃します。緩めたときは、本当の違反を今も捕まえられるかを確かめ直してください。

検査そのものが動いているかは、どう確かめるのか?

ここが最も見落とされる点です。検査の結果が「違反ゼロ」だったとき、それは守れている場合検査が動いていない場合の両方で起こります。この2つは、結果だけを見ても区別できません。

確かめる方法は単純です。わざと違反する文を混ぜて、検出されるかを見る。検出されなければ、検査が働いていません。

この確認は、仕組みを変更するたびに行ってください。設定の更新や入れ替えで、いつの間にか検査が外れていることがあります。

お悔やみの言葉は、いつ述べるべきか?

ご逝去だと分かってからです。名乗った直後に述べると、事前相談のお電話だった場合に相手を戸惑わせます。述べる・述べないではなく、述べる位置の問題です。

逆に、ご逝去と分かったのに触れないのも冷たく響きます。順番を決めておけば、どちらの失敗も避けられます。

地域や宗派の違いには、どう対応するのか?

自社の営業地域に合わせて決めるのが現実的です。全国の慣習をすべて網羅しようとすると、使える言葉がなくなります。

そのうえで、判断に迷う場面ではやわらかい方を選ぶという原則を持っておくとよいでしょう。踏み込みすぎて失礼になるより、控えめであるほうが安全です。

一覧は、どう更新していくのか?

気付いたことを足していく形にしてください。運用しているうちに、ご遺族の反応や担当者の気付きから分かることがあります。最初に決めた一覧を固定したままにすると、実態から離れていきます。

更新した際は、検査の設定にも反映されているかを確認します。一覧だけ更新して検査が古いままだと、決めた意味がありません。

結局、何を用意しておけばよいのか?

4つです。避ける語の一覧、代わりの言い方、確認の方法、そして確認が働いているかの検証。この4つが揃ってはじめて、方針が守られていると言えます。

一覧だけを作って満足しないでください。作った一覧が守られているかを確かめる工程こそが、実務の中身です。

新しく入った担当者には、どう伝えるのか?

一覧を渡すだけでは不十分です。なぜその言葉を避けるのかを伝えてください。理由を知らずに一覧だけ覚えると、書かれていない場面で判断できません。

ご遺族の状況を想像すればどう言うべきかが分かる、という形にしておくほうが、結果として一覧よりも広く効きます。一覧は補助であって、本体は考え方のほうです。

あわせて、迷ったときの相談先を決めておきます。判断に迷う言葉に出会ったとき、その場で誰かに聞ける状態であれば、事故は減ります。

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