この記事の要点
- 夜間の着信は件数が少ないので、1件あたりで割ると必ず割高に見える。
- 実際に買っているのは「鳴らない夜も含めた、取りこぼさない状態」。
- 比べる前に、自社の夜間着信を1か月記録する。記録がないと金額の大小しか見えない。
夜間対応にいくらかけるべきか。この問いは、測り方を決めないと答えが出ません。同じサービスでも、測り方によって「高い」とも「安い」とも結論が出てしまうためです。
なぜ件数で割ると割高に見えるのか?
夜間の着信は件数が少ないからです。月に数件から十数件という規模であれば、月額を件数で割った数字は大きくなります。日中の問い合わせ対応と同じ物差しで測ると、必ず割高に見えます。
けれども、この計算は買っているものを取り違えています。夜間対応で買っているのは、鳴った電話への応対だけではありません。鳴らない夜も含めて、取りこぼさない状態を買っています。
保険と同じ考え方です。使わなかった月の保険料を「無駄だった」と数えないのと同じで、鳴らなかった夜のぶんも含めて価値があります。
いま、実際にはいくら払っているのか?
宿直や当番制を敷いている場合、すでに費用は発生しています。手当として明示されている場合もあれば、給与に含まれている場合もあります。
見えにくいのは、翌日の生産性です。夜に起こされた担当者の翌日の仕事は、通常どおりとはいきません。この分は帳簿に出ませんが、実際には失われています。
加えて、採用と定着への影響があります。夜間の当番が理由で辞めた方がいれば、その採用にかかった費用も夜間対応のコストです。ここまで含めて考えると、比較の土台が変わります。
取りこぼしは、どう金額にすればよいのか?
正確な金額は出せませんが、桁は見積もれます。取りこぼした件数 × 自社の平均的な施行単価 × 受注に至る割合で概算できます。
ここで大事なのは、正確さより桁です。月に1件取りこぼしているのか、四半期に1件なのかで、判断は変わります。その差を知るために、まず件数を数える必要があります。
なお、この計算を過大にしないことも大切です。かかってきた電話がすべて受注につながるわけではありません。控えめに見積もっても投資に見合うかどうか、で判断するほうが健全です。
見積もりを比べるとき、何に注意すればよいのか?
料金体系の型を揃えて比べることです。件数課金と定額では、同じ金額でも意味が違います。
| 型 | 向いている状況 | 注意点 |
|---|---|---|
| 件数課金 | 着信が少なく、月ごとの差が大きい | 多い月に跳ねる。上限の有無を確認 |
| 定額 | 件数が読めている | 少ない月は割高に感じる |
| 定額+超過 | 基本は読めるが波がある | 超過分の単価と、超えたら止まるかを確認 |
とくに確認すべきは、上限に達したときに止まるのか、受け続けるのかです。夜間の電話が上限で止まる設計だと、いちばん忙しい月に取りこぼします。
初期費用は、何に対するものなのか?
内訳を確認してください。電話番号の設定、応対の内容づくり、通知先の設定、試験運用。それぞれ何日かかるのかを聞いておくと、いつから使えるのかも分かります。
「初期費用に何が含まれ、何が別料金か」も確認します。応対内容の変更が別料金だと、運用しながら改善する際に手が止まります。
判断するのに、最低限どんな数字が要るのか?
3つです。この3つが揃えば、社内で議論ができます。
- 夜間の着信件数(1か月ぶん・時間帯つき)
- そのうち出られなかった件数
- いま夜間対応に払っている手当・人件費
この3つがない状態で見積もりを比べても、金額の大小しか見えません。どれも1か月あれば集められます。
小規模な会社でも見合うのか?
件数が少ないほど、1件あたりの金額は大きく見えます。ただし、小規模な会社ほど夜間対応を担える人が限られているという事情があります。一人が抜けたら回らない状態であれば、費用よりも継続性の問題として考えるべきです。
また、施行単価が高い地域や業態であれば、年に数件の取りこぼしを防ぐだけで見合うこともあります。ここも自社の数字次第です。一般論ではなく、自社の3つの数字で判断してください。
費用を社内で説明するとき、どう伝えればよいのか?
「安くなる」と説明しないことです。夜間対応を仕組みに任せても、お迎えの人員は減りません。減るのは待機の負担であって、人件費そのものが大きく下がるわけではありません。ここを曖昧にすると、期待外れになります。
代わりに伝えるべきは3点です。取りこぼしが記録に残るようになること、夜の待機の質が変わること、そして体制が特定の人に依存しなくなること。いずれも金額では表しにくいものですが、続けられるかどうかに直結します。
数字で示すなら、導入前に測った「取りこぼし件数」を使ってください。感覚の話を金額の話に変える唯一の材料がそれです。
そして、費用の議論は一度で終わらせないでください。導入から数か月経てば、実際の着信件数も、取りこぼしの数も、当初の想定とずれます。半年に一度は数字を見直し、体系が合っているかを確かめる。契約したまま放置しないことが、結果として無駄を減らします。
費用の話をするときは、比較の相手を明確にしてください。何もしない場合と比べるのか、いまの当番制と比べるのか、他社サービスと比べるのかで、見るべき数字が変わります。相手が曖昧なまま高い安いを論じても、結論は出ません。
Tomori は、葬儀社の夜間・早朝のお電話を AI が一次対応し、引継ぎメモを添えて担当者へお繋ぎするサービスです。
デモ・ご相談のお問い合わせはこちら 株式会社VODE ── 日本の業界知に、音声AIの実装力を。現場のお話を伺うだけのご協力も歓迎しております。