この記事の要点
- ご遺族は待たない。出なければ次の葬儀社にかける。折り返した時点で、すでに決まっていることがある。
- 「不在着信が残っている」ことと「掛かってきたと気付いている」ことは別。
- 取りこぼしを減らす第一歩は、鳴った電話をすべて1か所に記録すること。数えられないものは改善できない。
夜間の電話に出られなかったとき、何が起きているのか。ここは想像で語られがちですが、実務の観点で整理すると、対応の優先順位が見えてきます。
出られなかったご遺族は、待ってくれるのか?
多くの場合、待ちません。ご遺族はその時点で「どこかに来てもらう」必要があり、出た会社に頼むのが自然だからです。病院で待たされている状況であればなおさらです。
ご遺族の立場に立てば当然のことです。深夜に、悲しみのなかで、次に何をすればよいか分からない。そのときに手元にあるのは検索結果か、病院で渡された紙か、知人から聞いた名前です。掛けて出なければ、次の番号に掛けます。誰かを責める話ではなく、そういう状況だというだけのことです。
つまり、折り返しが数十分後になった時点で、すでに別の会社が向かっていることがあります。これは応対の質以前の問題です。どれほど丁寧な応対ができる会社でも、電話に出られなければその機会は来ません。
不在着信が残っていれば、気付けるのではないか?
気付ける場合と、気付けない場合があります。「履歴が残っている」ことと「掛かってきたと知っている」ことは別です。朝、履歴を確認する運用になっていなければ、その番号は誰にも見られないまま埋もれます。
非通知の場合はさらに難しく、履歴からは折り返せません。病院の代表番号からの発信だと、折り返しても交換につながり、どなたからのお電話だったのか特定できないこともあります。携帯からの発信であっても、ご本人が寝ていれば出られません。
そして、この「気付けなかった件数」は、記録されていなければ社内で共有されません。誰も悪くないまま、月に何件かの機会が消えていきます。
折り返しが間に合うのは、どういうときか?
間に合うのは、ご遺族がまだ次を探している段階にいるときです。目安として数分以内であれば可能性がありますが、それを人の待機で担保するのは負担が大きい。ここが夜間対応の難しさです。
| 状況 | 折り返しの見込み |
|---|---|
| 数分以内に折り返せた | まだ探している可能性がある |
| 数十分後 | すでに別社が対応していることが多い |
| 翌朝 | ほぼ決まっている。お悔やみのご連絡になる |
| 非通知・代表番号 | そもそも折り返せない/本人に届かない |
この表で伝えたいのは「急げ」ということではありません。人の反応速度で勝負する構造そのものを見直す必要があるということです。
まず何から手を付ければよいのか?
取りこぼしを数える仕組みを作ることです。鳴った電話がすべて記録に残る状態にしないと、失った件数すら分かりません。分からないものは改善もできません。
記録に残すべきは、着信時刻・発信元・出られたかどうかの3つです。この3つが1か月ぶん揃えば、夜間対応にいくら投じるべきかを、感覚ではなく数字で判断できます。「なんとなく夜が大変だ」と「先月は夜間に7件あって、うち2件は出られなかった」とでは、社内での議論の質がまるで違います。
記録は1か所にまとめてください。携帯の履歴、事務所のメモ、担当者の記憶に分散していると、月末に集計できません。
一次対応を自動化すると、この問題は解けるのか?
「出る」ことは解けます。ただし出たあとに何をするかを決めていなければ、出ただけで終わります。用件を聞き取り、担当者に届け、届いたことを確認するところまでが一続きです。
逆に言えば、その一続きが設計されていれば、深夜に人が起きていなくても、朝いちばんで動ける状態は作れます。判断すべきは「自動化するかどうか」ではなく、「電話が鳴ってから担当者が動き出すまでの経路に、失敗を検知できない箇所がないか」です。
その経路のどこかに「誰も見ていない」区間があると、そこで静かに消えます。夜間対応を見直すときは、体制の名前ではなく、この経路を1本ずつたどってみてください。
取りこぼしを減らすために、順番としては何から手を付けるべきか?
順番があります。いきなり体制を変えるのではなく、次の3段階で進めるほうが確実です。
- 数える ── 1か月、夜間の着信をすべて記録する。時刻・発信元・出られたか
- 分ける ── ご逝去の第一報か、事前相談か、業者からの連絡かで分類する
- 決める ── 取りこぼしたくないのはどれか、いくらまで払えるかを決める
この順で進めると、社内の議論が「大変だから何とかしたい」から「先月は7件中2件を取りこぼしていて、そのうち1件はご逝去だった」に変わります。後者であれば、投資の判断ができます。
逆に、数えないまま体制を変えると、変えた後も効果が分かりません。良くなったのか、たまたま着信が少なかったのかを区別できないからです。測っておくことは、判断のためだけでなく、あとで振り返るためにも要ります。
なお、記録は取りこぼしのためだけのものではありません。どの時間帯に多いのか、どの曜日に偏るのかが見えると、当番の組み方そのものを見直せます。深夜2時台が多いのか、22時台が多いのかで、必要な備えは変わります。
Tomori は、葬儀社の夜間・早朝のお電話を AI が一次対応し、引継ぎメモを添えて担当者へお繋ぎするサービスです。
デモ・ご相談のお問い合わせはこちら 株式会社VODE ── 日本の業界知に、音声AIの実装力を。現場のお話を伺うだけのご協力も歓迎しております。