日本語以外の電話がかかってきたら、どうするのか

この記事の要点

  • 完全な多言語対応は要らない。まず「日本語でない」と判別して記録を残すだけで大きく違う。
  • 応対まで任せるかは慎重に。宗教や慣習に関わる場面で、誤訳の影響が大きい。
  • 備えの最低ラインは、番号と時刻が残り、翌朝に折り返せること。

頻度は高くありませんが、日本語以外でのお問い合わせは実際にあります。備えがないと、何も残らないまま終わります。現実的な設計を整理します。

どのくらいの頻度で起こるのか?

地域によります。在留外国人の多い地域では、年に数件から十数件という規模で発生することがあります。少ないように見えますが、1件も対応できない状態であることのほうが問題です。

まずは実績を確認してください。着信の記録を見返すと、対応できずに切れた電話が見つかることがあります。

完全な多言語対応が必要なのか?

必要ありません。段階があります。頻度から考えて、最初の段階で十分な会社が多いはずです。

段階できること手間
1. 判別と記録日本語でないと分かり、番号と時刻が残る小さい
2. 簡単な案内翌朝の折り返しを英語で伝える中程度
3. 応対まで用件を伺って記録する大きい

段階1だけでも、いまと比べれば大きな前進です。番号が残っていれば、翌朝に折り返せます。

応対まで任せるのは、なぜ慎重であるべきか?

葬儀は宗教や慣習に深く関わるためです。誤訳の影響が、他の業種より大きくなります。

また、ご遺族の宗教によっては、日本の一般的な葬儀の前提が当てはまりません。土葬をご希望される場合、対応できる施設は限られます。この判断を仕組みに任せるのは危険です。

設計としては、伺って記録するところまでに留め、判断は人が行う形が安全でしょう。

翌朝の折り返しで、間に合うのか?

多くの場合は間に合います。ただし、折り返す体制があるかが前提になります。番号だけ残っていても、対応できる人がいなければ同じことです。

あらかじめ決めておくべきは、誰が折り返すか、通訳が必要な場合どうするか、対応できない場合にどこをご案内するか。「対応できません」と伝えることも、何も伝えないよりはるかにましです。

どの言語に備えるべきか?

地域の在留者の構成によります。全国一律ではありません。自治体の統計を見れば、おおよその傾向は分かります。

ただし、英語だけは共通して備える価値があります。母語が何であれ、英語であれば通じる可能性が高い場面が多いためです。

案内文は、どう作ればよいのか?

短く、確実に伝わる内容に絞ります。会社名、日本語での対応となること、翌日に折り返すこと、番号を残していただきたいこと。

翻訳は、必ずその言語が分かる方に確認してもらってください。機械翻訳をそのまま使うと、意図と違う印象を与えることがあります。とくにこの場面では、言葉の選び方が重要です。

記録には、何を残すのか?

番号、時刻、そしてどの言語だったかです。3つ目があると、折り返す際の準備ができます。通訳の手配が必要かどうかも判断できます。

可能であれば音声も残しておくと、聞き返して言語を特定できます。判別が外れていた場合の保険になります。

対応できないときは、どうするのか?

そう伝えることです。曖昧なまま放置するより、対応できない旨と、可能であれば他の選択肢をお伝えするほうが誠実です。

自治体の相談窓口や、対応可能な同業者をご案内できれば、なお良いでしょう。備えがあるとは、必ず対応できることではなく、何も返せない状態を作らないことです。

まず何から始めればよいのか?

2つです。過去の着信記録を見返して実績を確認すること。そして、対応できない場合にどうするかを決めておくこと。

どちらも、仕組みの導入を待たずに今日から着手できます。頻度が低いからこそ、決めておかないとその場で困ります。年に数回しか起きないことは、経験で覚えられません。

判別を誤った場合は、どうなるのか?

日本語なのに外国語と判定されると、日本語の方に英語の案内が流れます。逆の誤りもあり得ます。訛りの強い日本語や、雑音の多い環境では判別が難しくなります。

設計としては、誤ったときに立て直せる形にしておくことです。案内のあとに日本語での応対に戻れる経路があれば、誤判別も致命的にはなりません。

導入時には、実際に試して確かめてください。判別の精度は環境によって変わります。想定より外れることが分かれば、段階1に留めるという判断もできます。

宗教や慣習の違いには、どう備えるのか?

電話の段階で判断しようとしないことです。ご希望される形式が日本の一般的な葬儀と異なる場合、対応の可否は施設や手続きに関わります。その場で答えられる内容ではありません。

備えとして必要なのは、対応できる範囲を社内で整理しておくことと、対応できない場合のご案内先を把握しておくことです。この2つがあれば、翌日の折り返しで誠実に対応できます。

備えの水準を決める際は、地域の状況と自社の体制から判断してください。全国一律の正解はありません。年に1件かもしれない事態に、どこまで手をかけるか。少なくとも「何も残らない」状態だけは避ける、という線引きから始めるのが現実的でしょう。

いずれにせよ、備えは平時にしか作れません。実際に外国語のお電話を受けてから考え始めると、その一件には間に合いません。決めておくこと自体に、時間も費用もかかりません。

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