この記事の要点
- 「電話に出る」だけの契約だと、ご遺族は同じ話を二度することになる。
- 通知が届かなかったときに気付ける仕組みがあるかを、必ず確認する。「送った」と「届いた」は別。
- 弔事特有の言葉づかいは、業種汎用のサービスでは担保されないことがある。
夜間の電話を外部に任せる選択肢は増えています。ただし「出てくれる」という一点だけで選ぶと、導入後にご遺族の負担が増えることがあります。契約前に確認しておきたい論点を、実務の順に並べます。
どこまで聞き取ってくれるのか?
最も重要な確認事項です。取り次ぐだけのサービスでは、ご遺族は同じ話を二度することになります。深夜に、混乱した状態で二度です。
最低限、ご逝去の事実・いまいらっしゃる場所・お連れする先・ご連絡先までを聞き取れるかを確認してください。ここが聞けていれば、折り返しは「確認」で済みます。聞けていなければ「もう一度はじめから」になります。この差は、ご遺族が受ける印象に直結します。
確認の仕方としては、実際の音声サンプルを聞かせてもらうのが確実です。項目一覧を見せてもらうだけだと、どういう言い回しで伺うのかが分かりません。葬儀の電話は、何を聞くかと同じくらい、どう聞くかが効きます。
聞き取った内容は、誰に、どうやって届くのか?
届け方は必ず具体的に確認します。メールなのか、チャットなのか、電話なのか。深夜のメールは、朝まで読まれない前提で考えるべきです。
あわせて、複数の担当者に届くか、担当者が出られなかったら次の人に回るかも確認します。一人に届いて終わりだと、その人が寝ていれば止まります。夜間対応を委託する目的が「誰かが起きていなくても回ること」であるなら、届け先が一人では目的を果たしません。
急ぎの用件だけ電話で起こしてもらえるか、という点も確認しておくとよいでしょう。すべてを電話で起こされると当番制と変わりませんし、すべてがメールだと朝まで気付きません。用件の種類で分けられるかが、実用上の分かれ目になります。
届かなかったとき、それに気付けるのか?
見落とされがちですが、ここが最も事故につながります。「送った」と「届いた」は別です。送信に失敗しても誰も知らない仕組みだと、電話は鳴ったのに誰も知らないまま朝になります。
確認する言い方はこうです。「通知に失敗したとき、それはどこで分かりますか」。答えられないサービスは、失敗を検知していない可能性があります。「失敗しません」という答えも要注意です。メールサーバの不調も、チャットの設定ミスも、現実には起こります。
望ましいのは、届いたかどうかが記録に残り、届かなかったときに何らかの形で目に見えることです。翌朝に一覧を見れば「昨夜は3件あって、すべて届いた」と確認できる状態が理想です。
弔事の言葉づかいは担保されるのか?
業種汎用のサービスでは、担保されないことがあります。葬儀の電話では「ありがとうございます」で受けない、重ね言葉を避けるなど、他業種と異なる決まりごとがあります。一般的な電話代行の研修には、これらは含まれていないのが普通です。
| 確認すること | 望ましい答え |
|---|---|
| 第一声の言い回し | 弔事向けに調整できる |
| 忌み言葉の扱い | 使わない語を指定できる |
| お悔やみを述べる位置 | ご逝去と分かった後に述べる |
| 会社名の名乗り方 | 自社の言い回しに合わせられる |
3つ目は特に大事です。用件を伺う前にお悔やみを述べてしまうと、事前相談のお電話だった場合に相手を戸惑わせます。順番の問題です。
費用は、何に対して払うことになるのか?
件数課金か、待機に対する定額かで、意味合いが変わります。夜間の着信は件数が少ないので、件数で測ると割高に見え、待機で測ると納得しやすいという性質があります。
どちらが得かは、自社の着信件数によります。まず1か月ぶんを記録してから見積もりを取ると、比較の土台ができます。記録がないまま見積もりを比べると、金額の大小しか見えません。
また、超過分の扱いも確認しておきます。件数が想定を超えたときに止まるのか、受け続けて後から請求されるのか。夜間の着信は重なるときには重なるので、ここは実務に影響します。
解約するとき、何が残るのか?
意外に見落とされる論点です。委託中に蓄積した通話の記録や聞き取り内容が、解約後に自社へ渡るのかを確認してください。渡らない場合、過去の問い合わせ履歴を失うことになります。
あわせて、電話番号の扱いも確認します。委託先が用意した番号を使っていた場合、解約するとその番号は使えません。名刺やウェブサイトに載せた番号であれば、影響は長く残ります。
試すときは、どこまで確かめてから本番に移すべきか?
資料と打合せだけで決めないことです。実際に自社の番号へ掛けて、最後まで通してみるのが確実です。確かめるのは、応対そのものだけではありません。
- 第一声と言葉づかいが、自社の方針と合っているか
- 伺った内容が、想定した相手に、想定した速さで届くか
- 届いた内容だけで、翌朝の担当者が動き出せるか
- わざと途中で切ったとき、記録がどう残るか
最後の項目は特に大事です。深夜の電話は途中で切れます。切れたときに何も残らない仕組みだと、その一本は存在しなかったことになります。
試す期間は、少なくとも夜間の着信が数件は入る長さを取ってください。1日試して「問題なかった」では、めったに起きない失敗を確かめたことになりません。夜間対応で困るのは、いつもの夜ではなく、いつもと違う夜です。
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