AIに通話を任せるとき、ご遺族に何を告げるべきか

この記事の要点

  • AIであることは最初に伝える。後から分かると、その事実自体が不信につながる。
  • 伝えるのは3つ。AIであること・録音の有無・外部処理の有無。長い説明は届かない。
  • 伝えたうえで断られたときの受け皿を必ず用意する。断られて終わりにしない。

AIが電話に応対する場合、何を伝えるべきか。法令上の要請という観点もありますが、ここでは信頼を保つための実務として整理します。制度の適用については専門家にご確認ください。

なぜ、最初に伝える必要があるのか?

後から分かったときの不信が大きいからです。「人だと思って話していた」という感覚は、内容の良し悪しとは別に、会社への信頼を損ないます。ご家族を亡くされた直後という場面であれば、なおさらです。

逆に、最初にお伝えしておけば、その前提で受け止めていただけます。AIであることそのものを問題視される方は一定数いらっしゃいますが、伏せられていたことを問題視される方はもっと多い、と考えておくのが安全です。

この判断は、技術の話ではなく姿勢の話です。伝えて選んでいただく形にするか、伝えずに済ませるか。前者を選ぶことが、結果として会社を守ります。

何を伝えればよいのか?

3つです。AIが応対していること通話を録音していること(録音する場合)、外部のサービスで処理していること(該当する場合)。この3点で足ります。

長い説明は、深夜のご遺族には届きません。制度の名称や技術の仕組みを述べる必要はなく、事実を短く伝えることが目的です。読み上げて15秒を超えるようなら、削る余地があります。

削るときの基準は、「聞かなかったことで、後から不利益や驚きが生じるか」です。生じるなら残し、生じないなら削る。この基準で整理すると、必要な内容だけが残ります。

どの順番で伝えるのがよいのか?

名乗り、AIであること、録音と処理について、そしてご用件を伺う。この順が自然です。名乗る前にAIの話をすると唐突ですし、ご用件を伺った後では遅すぎます。

注意すべきは、お悔やみを述べる位置です。告知の段階ではまだご用件が分かっていません。事前相談のお電話かもしれないため、この時点でお悔やみを述べるべきではありません。

伝えたうえで断られたら、どうするのか?

断られることは想定内として、受け皿を用意しておきます。「人間の担当者と話したい」と言われた時点でAIは引くのが原則ですが、そこで終わらせないことが重要です。

断られたお電話こそ、記録を残して担当者に届ける必要があります。ご用件は伺えていなくても、「この番号から、この時刻に、人への取り次ぎをご希望のお電話があった」という事実は残ります。それだけあれば折り返せます。

ここが設計されていないと、断られた電話は跡形もなく消えます。AIを断った方は、その会社に電話したこと自体がなかったことになる。これは最も避けるべき状態です。

深夜に断られた場合は、どうすべきか?

判断が要る場面です。ご用件が分からない以上、軽いご相談かもしれません。それでも、ご逝去の第一報である可能性を優先して担当者に連絡するという判断はあり得ます。

取りこぼしたときの重さが釣り合わないためです。軽い用件で起こしてしまう損失と、第一報を朝まで放置する損失は、まったく別の大きさです。

この判断基準は、社内で決めておいてください。その場に任せると、人によって、日によって変わります。

録音しない場合も、伝えるべきか?

録音していないのであれば、その旨を述べる必要はありません。ただし、音声認識のために外部へ音声を送っている場合は、保存の有無とは別の話として扱う必要があります。

「保存していない」ことと「外部に送っていない」ことは別です。この2つを混同した説明は、正確ではありません。自社の処理の実態を把握したうえで、告知の文言を作ってください。

告知の文言は、誰が決めるべきか?

経営の判断として決めるべきです。現場に任せると、担当者ごとに言い回しが変わり、伝わり方も変わります。文言を一つに決めて、変更する場合も同じく経営の判断で行う。この形が安全です。

決めた文言は、実際に読み上げて確かめてください。文字で読む印象と、音声で聞く印象は違います。とくに速さと間の取り方は、聞かないと分かりません。

実際に守られているかは、どう確かめるのか?

通話を聞き返すことです。文言を決めただけでは、守られている保証にはなりません。設定の変更や更新によって、いつの間にか流れなくなっていることもあり得ます。

月に一度、数本でよいので冒頭を確認する。「決めた」と「行われている」は別だという前提で運用してください。

まとめると、何を用意しておけばよいのか?

用意するもの目的
告知の文言誰が出ても同じ説明になる
断られたときの経路お電話を失わない
深夜の判断基準その場の判断に任せない
確認の習慣決めたことが守られているか見る

ウェブサイトには、どこまで書いておくべきか?

電話口で伝えきれない内容は、ウェブサイトに記載しておきます。どの工程で何をしているか、データをどこに預けているか、保存期間はどれくらいか。電話では15秒で終える必要がありますが、書面であれば丁寧に説明できます。

記載しておくことには、もう一つ利点があります。ご遺族から詳しく尋ねられたときに、その場で説明するのではなく「こちらに記載しております」とご案内できることです。担当者によって説明が変わる事態を避けられます。

Tomori は、葬儀社の夜間・早朝のお電話を AI が一次対応し、引継ぎメモを添えて担当者へお繋ぎするサービスです。

デモ・ご相談のお問い合わせはこちら 株式会社VODE ── 日本の業界知に、音声AIの実装力を。現場のお話を伺うだけのご協力も歓迎しております。