深夜に担当者を起こす判断は、どうすればよいのか

この記事の要点

  • 用件が分かっているなら、お迎えが要るかどうかで判断できる。
  • 用件が分からないときは、起こす側に倒す。取りこぼしの損失のほうが大きい。
  • 判断基準は社内で共有しておく。その場の判断に任せると人によって変わる。

夜間に電話があったとき、担当者を起こすべきかどうか。この判断は現場に委ねられがちですが、基準を決めておかないと人によって対応が変わります。整理しておきましょう。

そもそも、なぜ判断が難しいのか?

間違いのコストが非対称だからです。軽い用件で起こしてしまう損失と、ご逝去の第一報を朝まで放置する損失は、まったく釣り合いません。

前者は「申し訳ない」で済みますが、後者はご遺族を失望させ、機会も失います。この非対称を理解しておくと、迷ったときの方向が決まります。

加えて、判断する側も深夜です。眠い頭で微妙な判断を求めるのは無理があります。だからこそ、事前に基準を決めておく必要があります。

用件が分かっている場合は、どう判断するのか?

お迎えが必要かどうかで決まります。ご逝去の第一報でお迎えのご希望があれば、起こします。事前相談のお問い合わせ、業者からの連絡、営業の電話であれば、朝で構いません。

迷うのは、ご逝去だがお迎えは朝でよいとおっしゃっている場合です。この場合も、一度は担当者に伝わる形にしておくほうが安全でしょう。翌朝いちばんの動き出しが変わります。

ただし「伝わる」と「起こす」は別です。記録が残って朝いちばんに読める状態であれば、深夜に起こす必要はありません。

用件が分からない場合は、どうするのか?

起こす側に倒します。用件が把握できないということは、ご逝去の第一報である可能性が排除できないということです。

典型的なのは、応答がないまま切れた場合、途中で通信が切れた場合、人と話したいと言われて用件を伺えなかった場合です。いずれも、内容は分かりません。

このとき「たぶん間違い電話だろう」と判断して放置すると、その判断が誤っていたときに誰も気付けません。分からないことを分からないまま扱い、判断は人がするのが安全です。

時間帯によって基準を変えるべきか?

変えるのが現実的です。22時と午前3時では、起こすことの負担が違います。深夜帯を明確に区切って、その時間帯だけ基準を厳しくする、といった運用が考えられます。

時間帯用件が分かる用件が分からない
夕方〜22時頃内容に応じて折り返して確認
深夜帯お迎えが要るなら起こす起こす側に倒す

この表はあくまで例です。自社の体制と地域の事情に合わせて決めてください。大切なのは、決めて共有することです。

誰を起こすのか?

当番の担当者が基本ですが、出られないことも想定しておきます。1人に架電して出なければそこで止まる仕組みでは、当番が寝入っていた場合に穴が空きます。

次の担当者へ回る経路を用意しておいてください。順番と、何回で次へ回るかを決めておけば、深夜に誰かが判断する必要がなくなります。

全員が出られなかった場合の受け皿も要ります。ここが空白だと、鳴らしただけで終わります。

起こすときは、何を伝えるべきか?

用件の種類と、いつの電話かです。「ご逝去のご連絡です」「〇時に着信がありました」だけでも、起きた側は状況を把握できます。

逆に、詳細をすべて伝える必要はありません。起きた本人が記録を読めばよいことです。電話口では、動き出すべきかどうかが分かれば足ります。

起こされた側は、どう受けるべきか?

受けたことを、誰かに分かる形にすることです。起きて対応し始めたのに、それが共有されていないと、他の人も起こされることがあります。

簡単な仕組みで構いません。受けた旨を記録する、あるいは受領の応答をする。「誰が対応しているか」が分かるだけで、無駄な重複が減ります。

この基準は、どう共有すればよいのか?

文書にして、夜間対応に関わる全員が見られる場所に置きます。口頭で伝えただけでは、人が変わると失われます。

そして、実際に起きた事例を追記していってください。「こういう電話があって、こう判断した」という記録が積み上がると、基準は自然と具体的になります。最初から完璧な基準を作ろうとせず、運用しながら育てるのが現実的です。

起こす回数が多すぎるときは、どう見直すのか?

まず、起こした件数と、そのうち実際にお迎えが必要だった件数を数えてください。この比率が低いのであれば、基準ではなく用件の把握に問題がある可能性があります。

用件が分からないから起こす、という判断は正しいのですが、そもそも用件を伺える仕組みがあれば、起こす回数は減ります。夜間の一次対応で用件まで聞き取れているかどうかが、ここに効いてきます。

逆に、比率が高いのに担当者の負担が大きいのであれば、それは基準の問題ではなく人員の問題です。この2つは打ち手が違うため、混同しないよう数字で切り分けてください。

そして、基準を決めたあとも、起こされた側の負担を定期的に確認してください。数字の上では適切に見えても、特定の人に偏っていれば同じことです。誰が何回起きたかを月ごとに見るだけで、偏りは見えてきます。

判断基準は、夜間対応を仕組みに任せたあとも必要です。むしろ、機械が「起こすべきか」を判断できない以上、その線引きを人が明示しておくことがより重要になります。誰かの勘に任せない。それが夜を続けられる体制の条件です。

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