若手が辞めていく理由に、夜間対応はどれだけ関わっているのか

この記事の要点

  • 負担の中身は「出動」より「いつ鳴るか分からない状態」。予測できないことが消耗させる。
  • 減らせるのは待機の負担。出動そのものは減らない。ここを混同すると期待がずれる。
  • 定着に効くのは、負担の量より、負担が特定の人に偏っていないこと。

人が採れない、続かない。この業界で繰り返し聞かれる課題です。原因は一つではありませんが、夜間対応がどの程度関わっているのかを整理してみます。

負担の中身は、何なのか?

出動そのものより、いつ鳴るか分からない状態だという声をよく聞きます。実際に呼ばれる回数は多くなくても、鳴るかもしれないという状態が続くこと自体が消耗させます。

予定が立てられない、という形でも現れます。夜に用事を入れられない、家族との時間が読めない。呼ばれなかった日も、その日は自由ではありませんでした。

この性質は、当番の回数だけを見ていると見落とされます。月に何回出動したかではなく、月に何日、自由でない夜があったかで数えるほうが実態に近いでしょう。

若い世代で、何が違うのか?

働き方に対する前提が異なる、という面はあります。ただ、それを「根性が足りない」と片付けると、採用は続きません。前提が変わったのだと受け止めて、体制のほうを合わせるほうが現実的です。

もう一つは、比較の対象が広いことです。他の業界の条件が容易に見えるため、この業界だけの常識では説明がつきません。

仕組みで減らせるのは、どの部分か?

一次対応の部分です。鳴るたびに起きて、用件を聞き、判断する。この工程を仕組みが担えば、本当に出動が必要なときだけ起きる形にできます。

数字で言えば、夜間の着信のうち出動に至るのは一部です。残りは、事前相談、他社からの連絡、間違い電話など。この部分で起きる必要がなくなるだけでも、負担の質は変わります。

減らしても残るものは何か?

出動そのものです。お迎えには人が出ます。深夜に呼ばれることは、なくなりません。

ここを混同して「夜間対応がなくなる」と伝えると、期待と実際がずれます。減るのは待機であって出動ではないと、正確に伝えてください。誠実な説明のほうが、結果として信頼されます。

ただし、呼ばれ方の質は変わります。用件が分かった状態で起こされるのと、分からない状態で起こされるのとでは、心理的な負担が違います。

定着に効くのは、負担の量なのか?

量も効きますが、それ以上に偏りが効きます。特定の人に集中している状態は、その人の不満を生むだけでなく、周囲にも「自分もいずれこうなる」という見通しを与えます。

分散させることは、量を減らすことと同じくらい重要です。一人が毎晩担うのと、複数人が持ち回るのとでは、同じ総量でも受け止め方が違います。

仕組みを入れる利点の一つは、この分散が可能になることです。用件が記録に残れば、誰が対応しても同じ情報から動き出せます。

説明の仕方は、なぜ重要なのか?

仕組みを入れること自体が、現場に不安を与えることがあるためです。「自分の役割が減らされる」と受け取られると、良い仕組みでも定着しません。

伝えるべきは、何が変わって何が変わらないかです。ご遺族と向き合う仕事は変わらない。変わるのは、鳴るたびに起きる必要がなくなること。ここを具体的に伝えてください。

採用の場面では、どう伝わるのか?

夜間の体制がどうなっているかは、応募を検討する側にとって関心の高い情報です。「夜間は一次対応を仕組みで受けています」と説明できることは、条件の一つとして機能します。

ただし、実態と違う説明をすると、入社後に不信を生みます。出動はあると正確に伝えたうえで、待機の負担がどう軽くなるかを説明するのが誠実です。

効果は、どう確かめればよいのか?

起きた回数を記録してください。導入の前後で、夜間に目を覚ました回数がどう変わったか。出動の回数ではなく、起きた回数です。

あわせて、担当者に直接聞いてください。数字に出ない変化があります。楽になったか、ではなく、何が変わったかを聞くと、具体的な話が出てきます。

結局、夜間対応だけの問題なのか?

違います。給与、休日、教育、人間関係。定着には多くの要素が関わります。夜間対応はそのうちの一つです。

ただ、手を付けやすい要素ではあります。給与体系を変えるより、夜間の一次対応を仕組みに任せるほうが、着手も検証も容易です。効果が出るかどうかも、記録があれば数か月で分かります。

すべてを一度に解決しようとせず、測れるところから手を付ける。この順番が現実的でしょう。

現場の声は、どう集めればよいのか?

個別に聞くほうが本音が出ます。会議の場で「夜間対応はどうか」と問うても、当たり障りのない答えが返ってきがちです。日常の会話のなかで、具体的な出来事について聞くほうが実態に近づきます。

聞き方も工夫が要ります。「大変ですか」ではなく、「先週は何回起きましたか」「そのうち出動は何件でしたか」。事実を聞くほうが、答える側の負担も少なく、集計もできます。

改善の効果が出るまで、どのくらいかかるのか?

待機の負担が減る効果は、導入した月から出ます。起きる回数が減ることは、すぐに実感されます。

一方、定着への効果が見えるまでには時間がかかります。人が辞める・辞めないは年単位の話であり、他の要素も絡みます。短期で判断せず、起きた回数のような直接の指標を追うほうが、正しく評価できます。

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